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あれ、あの子は・・。私から遠く離れているけれど、「誰にも迷惑かけていない。」と背伸びをしてタバコを吸っていたあのときの少年。
「安齊さぁ〜ん。仕事してるよ。」と私の姿を見つけて駆け寄ってきた少年。何を言っても、すぐには聞き入れようとしなかったあのときの少年。あ〜随分と大人になったなあ。
これまで多くの少年、そして、保護者である親との出会いがありました。その中で、親の愛情の大切さと、その愛情が欠落したときの怖さを痛感したことがありました。
残暑が厳しい夕方のことでした。「娘が帰ってこない。」と、母親からの捜索願いが出されました。あれ、街頭で声かけしたあの子では?とすぐに頭に浮かんだのです。
少年のことは、いつも多くの少年がいる繁華街で見かけており、少年は、「ここにくると、一人じゃないから」「みんなが、話を聞いてくれるから」と寂しさをまぎらわすために外泊を繰り返していたのです。
「家に帰らないで、何してるの?」と私の問いかけに、少年は、突然、周囲の誰もが振り返るほど大きな声で泣き出したのです。そして、次の瞬間、「何でここにいるのが分かっているのに、探しに来ないの。」と叫んだのです。少年の突然の態度に、一瞬驚いてしまいましたが、少年の寂しさや親の愛情に飢えている姿に、胸が痛くなりました。少年は、自分を守ってくれるはずの親からの愛情を確かめていたのです。
最近の少年にかかわる事件をみると、殺人や放火といった特異・凶悪事件が発生したり、また、児童虐待の被害や少年が児童買春などの性的犯罪の被害者になることが増えているなど深刻な状況で、大きな衝撃を受けます。
少年たちに、何が起きているのでしょうか。物質的に豊かになっている反面、大切な心を失ってしまったのではないでしょうか。
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子どもの安全を守るために持たせた携帯電話が、子どもにとって有害な情報を得る手段となり、コミニュケーションの手段が携帯電話だけという親子が出現する時代になっています。
私は、少年たちの閉ざされた心を開くきっかけになれたらと、根気と真心で少年警察補導員の一歩を踏み出しました。自分の言葉が伝わらないもどかしさが幾度あったことでしょうか。今は、当時の思いにいくつかの経験を経て、新たな課題として取り組んでいます。
非行を犯すのは、少年自身の問題、家庭環境、情報化社会、人間関係の希薄等さまざまな要因が絡み合っていると思います。生活体験が乏しい少年たちは、何か困難にぶつかるとどう解決、表現していったらいいのか分からなくなり、自分の思いどおりにならないと、抑えがきかず相手を攻撃するなど思いもよらない行動をとってしまいます。思いやり、優しさ、信頼というものからかけ離れた自分本位の考え方で行動してしまうのです。
子どもは、家庭の中で生活の基本マナーやルールを学びます。そして、善悪のけじめをつける規範意識を身に付けて、社会のルールを学んでいきます。子どもの変化は、豊かな社会の弊害とだけでは言い切れないのではないでしょうか。
もう一度、親子のあり方を見直してみませんか。
先日、以前にかかわった少年から一本の電話がありました。
「元気にしています。」
私は、もう少し少年たちと歩んでいきたいと思います。
あなたの笑顔がみたいから。
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